純和風旅館という言葉に惹かれて福井を調べ始めたとき、正直「純和風」の基準がよく分かっていませんでした。畳の部屋があればいいのか、それとも建物全体の造りを指すのか。調べていくうちに、福井県のあわら温泉には、数寄屋造りの名棟梁が手がけた老舗旅館や、昭和の趣がそのまま残る宿が集まっていることが分かってきました。

あわら温泉は「関西の奥座敷」とも呼ばれる県内随一の温泉郷で、約33軒もの宿が源泉を引いているそうです。純和風という言葉にふさわしい佇まいの宿を探すなら、この一帯を見て回るのが近道だと感じました。門をくぐった瞬間に木の香りがして、庭を眺めながら湯に浸かる。そんな時間を想像するだけで、気持ちがすっと落ち着きます。普段の生活では味わえない、静けさそのものを目的にした旅というのも、たまにはいいものだと思います。

この記事では、あわら温泉で純和風の趣を大切にしている旅館を4軒、建築様式や温泉、食事のスタイルとあわせて紹介します。同じように和の設えにこだわる宿を探している人の参考になればうれしいです。個人的には、数寄屋造りの建物を見るだけで気分が上がってしまうタイプなので、調べているうちにどんどん行きたい気持ちが強くなりました。なお、料金やプラン内容、受賞歴などは2026年7月時点の情報をもとにしていますので、直前には公式サイトや楽天トラベルで最新情報をご確認ください。

なぜ福井の純和風旅館はあわら温泉に集まっているのか

福井で純和風旅館を探すと、ほぼ例外なくあわら温泉にたどり着きます。その理由を調べてみると、いくつか納得できる背景がありました。

関西の奥座敷と呼ばれる歴史

あわら温泉は明治16年に開湯し、大阪や京都から近いことから「関西の奥座敷」として親しまれてきたそうです。関西の富裕層や文人墨客が贔屓にした歴史があり、その名残として、数寄屋造りや茶室風の建築を今に残す旅館が多いのだと知りました。約33軒の宿が源泉を引く大温泉郷でありながら、派手なリゾート開発ではなく、和の佇まいを守り続けてきた土地柄なのだと感じます。北陸新幹線の延伸でアクセスが良くなったことも、この温泉郷の注目度を上げている理由のひとつだと思います。東京や関西から日帰りも可能な距離になった一方で、多くの旅館が昔ながらの純和風の佇まいを崩さずに営業を続けているのは、ある意味で意外なことかもしれません。門構えや玄関まわりに手を入れる旅館は多くても、客室や大浴場まで含めて純和風を貫いている宿は、実は年々減ってきているとも言われています。だからこそ、あわら温泉に残る老舗の佇まいは今のうちに体験しておきたいと感じました。

自家源泉が多く残る土地ならではの湯

あわら温泉のもうひとつの特徴が、多くの宿が自家源泉を持っていることです。次章で紹介するつるやのように敷地内に3本の井戸を持つ宿もあり、循環や加水をせずに湯を楽しめるところも少なくありません。純和風の建物と、地面から湧く本物の湯がセットになっているからこそ、あわら温泉には特別な説得力があるのだと思います。泉質はナトリウム塩化物泉が中心で、湯冷めしにくく、旅の疲れをじんわりとほぐしてくれると評判です。宿によって加温や加水の有無が異なるため、源泉かけ流しにこだわりたい人は事前に確認しておくと、より満足度の高い滞在になると思います。冬場は雪見風呂を楽しめる宿もあるようで、季節によって湯浴みの表情が変わるのも、この土地の温泉の奥深さだと感じます。あわら温泉全体の宿は楽天トラベルでまとめて確認できます。

140年の歴史と数寄屋造り つるや

あわら温泉で純和風という言葉が最もふさわしいと感じたのが、この宿でした。

大阪の名棟梁が手がけた茶室風の建物

越前あわら温泉 つるやは明治17年創業、140年以上の歴史を持つ老舗です。大阪の数寄屋造りの名棟梁が設計施工したという建物は、茶室や料亭を思わせる趣があり、写真を見ているだけでも背筋が伸びるような気持ちになりました。敷地内には自家源泉が3本あり、大浴場、露天風呂、貸切風呂、足湯まで、加水も循環もせずに源泉かけ流しで楽しめるとのことです。ミシュランガイド北陸2021では、ryokanカテゴリで4つの提灯という高い評価を受けているそうで、口コミ評価も4.89点と非常に高いことに驚きました。

会席料理と貸切風呂でゆっくり過ごす

食事は地元の越前がにや若狭牛など、季節の食材を取り入れた会席料理で、老舗ならではの丁寧な仕立てが評判のようです。貸切風呂があるので、記念日や親を連れての旅行で、周りを気にせず湯を楽しみたいときにも心強い一軒だと思います。正直、これだけの歴史と評価がありながら今も現役の旅館として選ばれ続けているのは、単なる古さではなく、手入れの行き届いた本物の趣があるからだと感じます。口コミを読んでいると、仲居さんの所作や気配りを褒める声がとても多く、接客の質の高さも評価の理由になっているようでした。老舗という肩書きにあぐらをかかず、日々の手入れと接客を積み重ねてきた結果としての4.89点なのだと思うと、余計に泊まってみたい気持ちが強くなります。

昭和レトロな純和風の宿 白和荘

もう少し肩肘張らない純和風の空間を求めるなら、こちらの宿も候補に入ってきます。

全19室、昭和の情緒が残る空間

芦原温泉 白和荘は、全19室というこぢんまりとした純和風旅館です。昭和の雰囲気がそのまま残っているという紹介を見て、逆に今では貴重な佇まいなのではと感じました。近年リノベーションされたピカピカの旅館とは違い、時を重ねた木の色合いや調度品に落ち着きを感じる人には特に向いていると思います。食事は部屋食または個室での対応で、刺身会席やあわびを使った会席プランなど、選択肢も幅広いようです。

ゆけむり横丁まで徒歩5分の気軽さ

あわら温泉屋台村(ゆけむり横丁)まで徒歩5分という立地も魅力です。夕食後や朝の散歩がてら、地元の屋台グルメをつまみに行けるのは、純和風旅館の静けさとはまた違った楽しみ方だと思います。支払いが現金のみという点は少し珍しいので、訪れる前に確認しておくと安心です。あわら温泉の税として1泊あたり150円ほどが加算されることも多いようで、こうした細かな費用も事前に把握しておくと安心して滞在できます。純和風の静かな部屋でくつろいだあと、少し外に出て活気のある屋台の雰囲気を味わい、また宿に戻って湯に浸かる。この緩急のある過ごし方は、格式高い老舗旅館だけに宿泊するのとはまた違った旅の面白さがあると思います。

湯めぐりが自慢の2軒

純和風の趣に加えて、湯めぐりそのものを楽しみたいなら、この2軒が候補に挙がってきます。

北陸最大級「千のこぼれ湯」まつや千千

純和風という佇まいを保ちながらも館内設備は充実していて、湯めぐりを目的に訪れる人がとても多い宿のようです。北陸あわら温泉 まつや千千は、源泉大浴場「千のこぼれ湯」が北陸最大級のスケールだそうです。男湯には5つの湯船、女湯には壺湯やかめ湯、ジャグジー風呂に加えて岩盤浴効果のあるヒーリングサウナまであり、湯めぐりだけで十分に満足できそうです。食事は旬ダイニング「千の幸」で、料理人が仕上げた品を1品ずつ席まで届けてくれるとのことで、部屋食プランも用意されています。2021年にリニューアルされた客室は畳の空間に無線LANも整い、純和風の趣を保ちながら快適さも兼ね備えているようです。湯めぐりを目的にするなら、チェックインしてすぐの1回、夕食後の1回、翌朝の1回と、時間帯を変えて浸かるのがおすすめです。同じ大浴場でも時間帯によって空き具合や光の入り方が変わり、印象がまったく違って感じられるそうです。

日本庭園を望む木造の湯 みのや泰平閣

あわら温泉 みのや泰平閣は、自家源泉を持ち、日本庭園を望む木造の露天風呂が印象的な宿です。10種類の会席プランから選べるということで、家族の好みに合わせて予算や内容を調整しやすいのもうれしいところです。JR芦原温泉駅からの無料送迎(要予約)もあり、公共交通機関で訪れる人にも配慮されています。口コミ評価は3.83点とやや控えめですが、価格帯も手頃なようで、純和風の雰囲気をコスパよく味わいたい人には検討しやすい一軒だと思います。日本庭園を眺めながらの湯浴みは、派手さはなくとも心が落ち着く時間になりそうです。ロビーでの無料コーヒーサービスなど、細かな気配りも評判の一部になっているようでした。

純和風旅館の選び方

4軒を比較していて、選ぶ軸によって向いている宿が変わってくると感じました。

歴史と格式を重視するなら

創業140年以上の歴史と、名棟梁による建築、そしてミシュランの評価まで揃うつるやは、格式を重視する記念日旅行や、両親への特別な贈り物としての旅行にふさわしいと思います。貸切風呂もあるので、周りを気にせず和の空間を堪能できます。予算に余裕があるなら、まず候補に入れておきたい一軒だと感じます。

気取らない純和風の雰囲気を楽しむなら

白和荘のように昭和の情緒を残す宿は、格式張らずに純和風の空気を味わいたい人に向いています。ゆけむり横丁が近いので、旅館での静かな時間と、屋台街のにぎわいの両方を一度に楽しめるのも良いところです。湯めぐりを重視するなら、まつや千千とみのや泰平閣を比較して、湯船の種類の多さか、庭園を望む静けさか、好みで選ぶとよさそうです。予算を抑えたいなら白和荘、湯めぐりの充実度で選ぶならまつや千千、庭園の静けさを重視するならみのや泰平閣というように、優先したい体験を軸に考えると選びやすくなると思います。旅館選びで迷ったときは、まず自分たちが今回の旅行で一番大事にしたいことをひとつ決めてから比較すると、後悔のない選択になりやすいと感じます。

よくある質問

Q. 純和風旅館とはどういう意味ですか。 A. 明確な定義があるわけではありませんが、この記事では数寄屋造りや茶室風の建築、和室中心の客室、日本庭園といった要素を大切にしている旅館を「純和風旅館」として紹介しています。あわら温泉にはこうした佇まいの宿が多く残っています。洋室や近代的な内装を取り入れつつも、随所に和の要素を残す宿も増えているため、迷ったときは客室写真や口コミを見て、自分のイメージに近いかどうかを確認するのがおすすめです。

Q. 貸切風呂がある宿はどこですか。 A. つるやには貸切風呂があります。他の宿については、大浴場や客室露天風呂が中心となるため、貸切利用を希望する場合は予約時に確認しておくと安心です。

Q. 部屋食に対応している宿はありますか。 A. 白和荘とまつや千千は部屋食に対応したプランがあります。周りを気にせずゆっくり食事を楽しみたい場合は、予約時に部屋食プランを指定するとよいでしょう。プラン内容は時期により変動するため、最新情報を公式サイトや楽天トラベルで確認してください。

Q. あわら温泉へのアクセスはどのくらいかかりますか。 A. JR芦原温泉駅からタクシーで10分ほど、みのや泰平閣のように駅からの無料送迎を用意している宿もあります。北陸新幹線の延伸により東京や関西からのアクセスも以前より良くなっているため、日程を組みやすくなっています。

まとめ

福井で純和風旅館を探すなら、あわら温泉に集まる4軒を紹介しました。140年の歴史と数寄屋造りが自慢のつるや、昭和の情緒が残る白和荘、湯めぐりが充実したまつや千千とみのや泰平閣と、同じ純和風という括りでも、それぞれに違った魅力があります。

純和風という言葉ひとつでも、老舗の格式なのか、昭和の懐かしさなのか、湯めぐりの充実なのかで、向いている宿はまったく違ってきます。今回調べてみて、あわら温泉がこれだけ多様な純和風の魅力を持つ土地だとは思っていなかったので、選ぶ楽しさそのものも旅の一部だと感じました。同じ「純和風」という看板を掲げていても、建築の年代や規模、湯の引き方まで一軒一軒まったく違う個性を持っているのが、あわら温泉の面白いところだと思います。

歴史と格式を求めるか、気取らない和の雰囲気を楽しむか、湯めぐりを重視するか、目的に合わせて選んでみてください。気になる宿が見つかったら、料金やプラン内容は変わりやすいので、早めに楽天トラベルで最新情報を確認しておくと安心です。木の香りと源泉の湯に包まれる、静かで上質な時間が過ごせますように。